【技とPR】
江戸べっ甲の職人はメガネと小間物製作の2通りに分かれます。
私は小間物を中心に作品を作っています。
また、今はプラチナ、金、シルバーなど地金を象嵌した
作品を作っています。
べっ甲は甲らが厚さ0.1〜0.5ミリくらいなので作品に
応じた厚みを作ってからいろいろと加工してゆきます。
甲らと甲らを合わせて厚みを作る作業は接着面をペーパーできれいにして
きれいな水につけて熱した鉄板(120度)にはさみ、
万力で圧力を(40t)ぐらいかけて圧着する。
■ 素材
べっ甲の材料であるタイマイという亀は大西洋、
カリブ海、インド洋の赤道にしか生息していない。
2メートル弱で200キロほどの大きさの海亀の一種。
■歴史
6世紀末から中国では作られており、
日本では正倉院にもタイマイの甲羅を使った楽器などが残っている。
べっ甲の技術は日本に16世紀頃に、朝鮮半島から伝えられる。
元禄期に貼り合せの技法が江戸に伝えられてから、現在の複雑な
造形が出来るようになったのが
江戸べっ甲の始り。
日本で技術が最も進み、べっ甲製品は日本で一番、好まれた。
江戸時代では庶民には持てない高価な物であった。
■ワシントン条約と現代
現在はワシントン条約により、その輸入が規制されてしまった為、
材料が手に入らない状況が続いている。
キューバなどではタイマイを食べる為、その甲羅は余っているのだが、
それすら買えない状態が続いているのである。
密輸などを防ぐために、経済産業省へのべっ甲の貯蔵量を
申請する登録義務などもあり、べっ甲職人への抜打ち検査などで、
申請の量が違うと罰せられる。
またタイマイはまれに沖縄に上陸することがあるため、
水産庁などは日本でも材料を作れるように、
タイマイの養殖をしているという。
|