北区伝統工芸保存会公式ホームページ last update:2023/8/15
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浮世絵木版画
浮世絵復刻
葛飾北斎
「神奈川沖浪裏」
「清麗の舞い」
沼辺 伸吉 作
沼辺 広伸
木版画(摺り)
日本の木版画の歴史は、浮世絵の歴史と言える。
喜多川歌麿、葛飾北斎、安藤広重等の
いわゆる、絵師が描いた原画を彫師が版木に彫り、
これを摺師が原画に基づいて和紙に刷りあげるという、
この両者が一体に成ってはじめて完成する総合芸術たる木版画は、
それぞれの職人の技術が高いレベルでバランスをとっていなければ
ならないきわめて奥深い創作活動である。
木版画の摺りにおいては、例えば色数が50色とか100色で完成するような
絵を摺る場合、 筆で描いたように、木版画を媒体として、
ブラシで絵具をつけて紙に摺り込んで仕上げてゆくわけであるが
この時、色相・明度・彩度をよく把握していないと思ったような
仕上がりにならない。
バランス感覚も重要で、摺りは原画に基づいて仕上げて行くのだが、
描いた色と摺った色は微妙に違う上に
板や紙の状態によっても違ってくるので、様々な要素を統合して、
原画と比べて違和感のないように
完成させる事が重要である。
日本の浮世絵は、世界的に芸術作品として認められているが、
その作者としては
往々にして『絵師』の歌麿や北斎・広重の名ばかりが知られているのが
実情である。
また、その作品は現存するものだけで今後はもう作られる事はない、
との誤解や
あるいは、作られたものは皆、原板から起こした「複製」である、
といった誤った認識が
根強く残っているのも事実である。
しかし、これまで述べたように、木版画というのは
『絵師』『彫師』『摺師』の三者の技術が
一体となって初めて完成される総合芸術であり、
いわばオーケストラの演奏によって
奏でられる音楽のようなものである。
作曲家の楽譜はもちろん尊重されるべきではあるが、
これだけでは、交響曲は成立せず、これを演ずる演奏家が必要である。
しかし、オーケストラの団員一人一人の技術のバランスガとれて
いなければ成らず、また、演奏する人が替われば、
曲のイメージも変わるようなもので
いわば、毎回演奏される曲ごとが、
オリジナルの作品だともある意味言える。
木版画においても同じく、摺りあげられた一枚一枚が
全て独立したオリジナルの作品である。
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